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平家物語『扇の的』品詞分解|係り結び・敬語表現と敬意の方向もまとめました

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このページでは、『平家物語』の「扇の的」について、原文の品詞分解と係り結び、敬語表現をまとめています。本文を短い区切りに分け、すべての語の品詞・活用・意味を確認できるようにしました。現代語訳とあわせて確認したい方は、平家物語「扇の的」現代語訳をご覧ください。

目次

「扇の的」品詞分解(1)ころは二月十八日の酉の刻ばかり

各文をクリックすると、品詞分解の内容が開きます。

ころは二(に)月(ぐわつ)十八日(じふはちにち)の酉(とり)の刻(こく)ばかりのことなるに、
  • ころ:名詞。
  • は:係助詞。
  • 二(に)月(ぐわつ)十八日(じふはちにち):名詞。
  • の:格助詞。
  • 酉(とり)の刻(こく):名詞。
  • ばかり:副助詞。程度。
  • の:格助詞。
  • こと:名詞。
  • なる:断定の助動詞「なり」の連体形。
  • に:接続助詞。~が。
折節(をりふし)北(きた)風(かぜ)烈(はげ)しくて、磯(いそ)打(う)つ浪(なみ)も高(たか)かりけり。
  • 折節(をりふし):副詞。ちょうどそのとき。
  • 北(きた)風(かぜ):名詞。
  • 烈(はげ)しく:シク活用の形容詞「烈し」の連用形。
  • て:接続助詞。
  • 磯(いそ):名詞。
  • 打(う)つ:タ行四段活用「打つ」の連体形。
  • 浪(なみ):名詞。
  • も:係助詞。
  • 高(たか)かり:ク活用の形容詞「高し」の連用形。
  • けり:過去の助動詞「けり」の終止形。
船(ふね)はゆりあげゆりすゑただよへば、
  • 船(ふね):名詞。
  • は:係助詞。
  • ゆりあげ:ガ行下二段活用「ゆりあぐ」の連用形。
  • ゆりすゑ:ワ行下二段活用「ゆりすう」の連用形。
  • ただよへ:ハ行四段活用「ただよふ」の已然形。
  • ば:接続助詞。確定条件。~ので。
扇(あふぎ)も串(くし)に定(さだ)まらずひらめいたり。
  • 扇(あふぎ):名詞。
  • も:係助詞。
  • 串(くし):名詞。扇を挟んで立てた竿。
  • に:格助詞。
  • 定(さだ)まら:ラ行四段活用「定まる」の未然形。
  • ず:打消の助動詞「ず」の連用形。
  • ひらめい:カ行四段活用「ひらめく」の連用形のイ音便。
  • たり:存続の助動詞「たり」の終止形。
沖(おき)には平(へい)家(け)、船(ふね)を一面(いちめん)に並(なら)べて見物(けんぶつ)す。
  • 沖(おき):名詞。
  • に:格助詞。
  • は:係助詞。
  • 平(へい)家(け):名詞。
  • 船(ふね):名詞。
  • を:格助詞。
  • 一面(いちめん):名詞。
  • に:格助詞。
  • 並(なら)べ:バ行下二段活用「並ぶ」の連用形。
  • て:接続助詞。
  • 見物(けんぶつ)す:サ行変格活用「見物す」の終止形。
陸(くが)には源(げん)氏(じ)、轡(くつわ)を並(なら)べてこれを見(み)る。
  • 陸(くが):名詞。
  • に:格助詞。
  • は:係助詞。
  • 源(げん)氏(じ):名詞。
  • 轡(くつわ):名詞。
  • を:格助詞。
  • 並(なら)べ:バ行下二段活用「並ぶ」の連用形。
  • て:接続助詞。
  • これ:代名詞。
  • を:格助詞。
  • 見(み)る:マ行上一段活用「見る」の終止形。
いづれもいづれも晴(は)れならずといふことぞなき。
  • いづれ:代名詞。
  • も:係助詞。
  • いづれ:代名詞。
  • も:係助詞。
  • 晴(は)れ:名詞。晴れがましいこと。
  • なら:断定の助動詞「なり」の未然形。
  • ず:打消の助動詞「ず」の終止形。
  • と:格助詞。
  • いふ:ハ行四段活用「いふ」の連体形。
  • こと:名詞。
  • ぞ:係助詞。強意。結びは「なき」。
  • なき:ク活用の形容詞「なし」の連体形。係助詞「ぞ」の結び。

「扇の的」品詞分解(2)与一、目を塞いで

与(よ)一(いち)、目(め)を塞(ふさ)いで、
  • 与(よ)一(いち):名詞。
  • 目(め):名詞。
  • を:格助詞。
  • 塞(ふさ)い:ガ行四段活用「塞ぐ」の連用形のイ音便。
  • で:接続助詞「て」がイ音便の後で濁ったもの。
「南無(なむ)八(はち)幡(まん)大(だい)菩(ぼ)薩(さつ)、別(べつ)してはわが国(くに)の神明(しんめい)、
  • 南無(なむ):名詞。仏や神に帰依することを表す語。
  • 八(はち)幡(まん)大(だい)菩(ぼ)薩(さつ):名詞。
  • 別(べつ)して:副詞。とりわけ。
  • は:係助詞。
  • わ:代名詞。
  • が:格助詞。連体修飾。
  • 国(くに):名詞。
  • の:格助詞。
  • 神明(しんめい):名詞。神。
日(につ)光(くわう)権(ごん)現(げん)、宇都宮(うつのみや)、那須(なす)の湯(ゆ)泉(ぜん)大(だい)明(みやう)神(じん)、
  • 日(につ)光(くわう)権(ごん)現(げん):名詞。
  • 宇都宮(うつのみや):名詞。
  • 那須(なす):名詞。
  • の:格助詞。
  • 湯(ゆ)泉(ぜん)大(だい)明(みやう)神(じん):名詞。
願(ねが)はくは、あの扇(あふぎ)の真中(まんなか)射(い)させてたばせたまへ。
  • 願(ねが)はく:ハ行四段活用「願ふ」の未然形に接尾語「く」が付いたもの。願うことには。
  • は:係助詞。
  • あ:代名詞。
  • の:格助詞。
  • 扇(あふぎ):名詞。
  • の:格助詞。
  • 真中(まんなか):名詞。
  • 射(い):ヤ行上一段活用「射る」の未然形。
  • させ:使役の助動詞「さす」の連用形。
  • て:接続助詞。
  • たば:バ行四段活用「たぶ」の未然形。尊敬語。お与えになる。与一から神仏への敬意。
  • せ:尊敬の助動詞「す」の連用形。与一から神仏への敬意。
  • たまへ:ハ行四段活用「たまふ」の命令形。尊敬の補助動詞。与一から神仏への敬意。
これを射(い)損(そん)ずるものならば、
  • これ:代名詞。
  • を:格助詞。
  • 射(い)損(そん)ずる:サ行変格活用「射損ず」の連体形。
  • もの:名詞。
  • なら:断定の助動詞「なり」の未然形。
  • ば:接続助詞。仮定条件。~ならば。
弓(ゆみ)切(き)り折(を)り自(じ)害(がい)して、人(ひと)に二度(にど)面(おもて)を向(むか)ふべからず。
  • 弓(ゆみ):名詞。
  • 切(き)り折(を)り:ラ行四段活用「切り折る」の連用形。
  • 自(じ)害(がい)し:サ行変格活用「自害す」の連用形。
  • て:接続助詞。
  • 人(ひと):名詞。
  • に:格助詞。
  • 二度(にど):名詞。
  • 面(おもて):名詞。顔。
  • を:格助詞。
  • 向(むか)ふ:ハ行四段活用「向かふ」の終止形。
  • べから:意志の助動詞「べし」の未然形。
  • ず:打消の助動詞「ず」の終止形。「~するつもりはない」の意。
今(いま)一(いち)度(ど)本国(ほんごく)へむかへんとおぼしめさば、
  • 今(いま):副詞。もう。
  • 一(いち)度(ど):名詞。
  • 本国(ほんごく):名詞。故郷。
  • へ:格助詞。
  • むかへ:ハ行下二段活用「迎ふ」の未然形。
  • ん:意志の助動詞「む」の終止形。
  • と:格助詞。引用。
  • おぼしめさ:サ行四段活用「おぼしめす」の未然形。尊敬語。お思いになる。与一から神仏への敬意。
  • ば:接続助詞。仮定条件。~ならば。
この矢(や)はづさせたまふな」
  • こ:代名詞。
  • の:格助詞。
  • 矢(や):名詞。
  • はづさ:サ行四段活用「はづす」の未然形。
  • せ:尊敬の助動詞「す」の連用形。与一から神仏への敬意。
  • たまふ:ハ行四段活用「たまふ」の終止形。尊敬の補助動詞。与一から神仏への敬意。
  • な:終助詞。禁止。~するな。
と、心(こころ)の中(うち)に祈(き)念(ねん)して、
  • と:格助詞。引用。
  • 心(こころ):名詞。
  • の:格助詞。
  • 中(うち):名詞。
  • に:格助詞。
  • 祈(き)念(ねん)し:サ行変格活用「祈念す」の連用形。
  • て:接続助詞。
目(め)を見(み)開(ひら)いたれば、
  • 目(め):名詞。
  • を:格助詞。
  • 見(み)開(ひら)い:カ行四段活用「見開く」の連用形のイ音便。
  • たれ:完了の助動詞「たり」の已然形。
  • ば:接続助詞。確定条件。~と。
風(かぜ)も少(すこ)し吹(ふ)き弱(よわ)り、扇(あふぎ)も射(い)よげにぞなったりける。
  • 風(かぜ):名詞。
  • も:係助詞。
  • 少(すこ)し:副詞。
  • 吹(ふ)き弱(よわ)り:ラ行四段活用「吹き弱る」の連用形。
  • 扇(あふぎ):名詞。
  • も:係助詞。
  • 射(い)よげに:ナリ活用の形容動詞「射よげなり」の連用形。射やすそうに。
  • ぞ:係助詞。強意。結びは「ける」。
  • なっ:ラ行四段活用「なる」の連用形の促音便。
  • たり:完了の助動詞「たり」の連用形。
  • ける:過去の助動詞「けり」の連体形。係助詞「ぞ」の結び。

「扇の的」品詞分解(3)与一、鏑を取って番ひ

与(よ)一(いち)、鏑(かぶら)を取(と)って番(つが)ひ、
  • 与(よ)一(いち):名詞。
  • 鏑(かぶら):名詞。かぶら矢。
  • を:格助詞。
  • 取(と)っ:ラ行四段活用「取る」の連用形の促音便。
  • て:接続助詞。
  • 番(つが)ひ:ハ行四段活用「番ふ」の連用形。矢を弓の弦にかける。
よっ引(ぴ)いてひやうと放(はな)つ。
  • よっ引(ぴ)い:カ行四段活用「よっ引く」の連用形のイ音便。弓を十分に引き絞る。
  • て:接続助詞。
  • ひやうと:副詞。矢を放つ音。
  • 放(はな)つ:タ行四段活用「放つ」の終止形。
小兵(こひやう)といふぢやう、十(じふ)二(に)束(そく)三(みつ)伏(ぶせ)、
  • 小兵(こひやう):名詞。
  • と:格助詞。
  • いふ:ハ行四段活用「いふ」の連体形。
  • ぢやう:名詞。「定」。小兵にふさわしく。
  • 十(じふ)二(に)束(そく)三(みつ)伏(ぶせ):名詞。矢の長さ。
弓(ゆみ)は強(つよ)し、浦(うら)響(ひび)くほど長(なが)鳴(な)りして、
  • 弓(ゆみ):名詞。
  • は:係助詞。
  • 強(つよ)し:ク活用の形容詞「強し」の終止形。
  • 浦(うら):名詞。
  • 響(ひび)く:カ行四段活用「響く」の連体形。
  • ほど:名詞。程度。
  • 長(なが)鳴(な)り:名詞。
  • し:サ行変格活用「す」の連用形。
  • て:接続助詞。
あやまたず扇(あふぎ)の要(かなめ)際(ぎは)一寸(いつすん)ばかり置(お)いて、
  • あやまた:タ行四段活用「あやまつ」の未然形。
  • ず:打消の助動詞「ず」の連用形。
  • 扇(あふぎ):名詞。
  • の:格助詞。
  • 要(かなめ)際(ぎは):名詞。扇の要の近く。
  • 一寸(いつすん):名詞。
  • ばかり:副助詞。程度。
  • 置(お)い:カ行四段活用「置く」の連用形のイ音便。間を置く。
  • て:接続助詞。
ひふつとぞ射(い)切(き)ったる。
  • ひふつと:副詞。矢が扇を射切る音。
  • ぞ:係助詞。強意。結びは「たる」。
  • 射(い)切(き)っ:ラ行四段活用「射切る」の連用形の促音便。
  • たる:完了の助動詞「たり」の連体形。係助詞「ぞ」の結び。
鏑(かぶら)は海(うみ)へ入(い)りければ、
  • 鏑(かぶら):名詞。
  • は:係助詞。
  • 海(うみ):名詞。
  • へ:格助詞。
  • 入(い)り:ラ行四段活用「入る」の連用形。
  • けれ:過去の助動詞「けり」の已然形。
  • ば:接続助詞。確定条件。~と。
扇(あふぎ)は空(そら)へぞ挙(あ)がりける。
  • 扇(あふぎ):名詞。
  • は:係助詞。
  • 空(そら):名詞。
  • へ:格助詞。
  • ぞ:係助詞。強意。結びは「ける」。
  • 挙(あ)がり:ラ行四段活用「挙がる」の連用形。
  • ける:過去の助動詞「けり」の連体形。係助詞「ぞ」の結び。
しばらくは虚(こ)空(くう)にひらめきけるが、
  • しばらく:副詞。
  • は:係助詞。
  • 虚(こ)空(くう):名詞。空中。
  • に:格助詞。
  • ひらめき:カ行四段活用「ひらめく」の連用形。
  • ける:過去の助動詞「けり」の連体形。
  • が:接続助詞。逆接。~が。
春風(はるかぜ)に一(ひと)もみ二(ふた)もみもまれて、
  • 春風(はるかぜ):名詞。
  • に:格助詞。
  • 一(ひと)もみ:名詞。
  • 二(ふた)もみ:名詞。
  • もま:マ行四段活用「もむ」の未然形。
  • れ:受身の助動詞「る」の連用形。
  • て:接続助詞。
海(うみ)へさとぞ散(ち)りたりける。
  • 海(うみ):名詞。
  • へ:格助詞。
  • さと:副詞。さっと。
  • ぞ:係助詞。強意。結びは「ける」。
  • 散(ち)り:ラ行四段活用「散る」の連用形。
  • たり:完了の助動詞「たり」の連用形。
  • ける:過去の助動詞「けり」の連体形。係助詞「ぞ」の結び。
夕(ゆふ)日(ひ)の輝(かがや)いたるに、
  • 夕(ゆふ)日(ひ):名詞。
  • の:格助詞。主格。
  • 輝(かがや)い:カ行四段活用「輝く」の連用形のイ音便。
  • たる:存続の助動詞「たり」の連体形。
  • に:格助詞。
皆紅(みなくれなゐ)の扇(あふぎ)の日(ひ)出(いだ)したるが、
  • 皆紅(みなくれなゐ):名詞。
  • の:格助詞。
  • 扇(あふぎ):名詞。
  • の:格助詞。同格。~で。
  • 日(ひ):名詞。
  • 出(いだ)し:サ行四段活用「出だす」の連用形。
  • たる:存続の助動詞「たり」の連体形。
  • が:格助詞。主格。
白波(しらなみ)の上(うへ)に漂(ただよ)ひ、浮(う)きぬ沈(しづ)みぬゆられければ、
  • 白波(しらなみ):名詞。
  • の:格助詞。
  • 上(うへ):名詞。
  • に:格助詞。
  • 漂(ただよ)ひ:ハ行四段活用「漂ふ」の連用形。
  • 浮(う)き:カ行四段活用「浮く」の連用形。
  • ぬ:完了の助動詞「ぬ」の終止形。並列。~たり~たり。
  • 沈(しづ)み:マ行四段活用「沈む」の連用形。
  • ぬ:完了の助動詞「ぬ」の終止形。並列。
  • ゆら:ラ行四段活用「ゆる」の未然形。
  • れ:受身の助動詞「る」の連用形。
  • けれ:過去の助動詞「けり」の已然形。
  • ば:接続助詞。確定条件。~ので。
沖(おき)には平(へい)家(け)、ふなばたを叩(たた)いて感(かん)じたり。
  • 沖(おき):名詞。
  • に:格助詞。
  • は:係助詞。
  • 平(へい)家(け):名詞。
  • ふなばた:名詞。
  • を:格助詞。
  • 叩(たた)い:カ行四段活用「叩く」の連用形のイ音便。
  • て:接続助詞。
  • 感(かん)じ:サ行変格活用「感ず」の連用形。感嘆する。
  • たり:完了の助動詞「たり」の終止形。
陸(くが)には源(げん)氏(じ)、箙(えびら)を叩(たた)いてどよめきけり。
  • 陸(くが):名詞。
  • に:格助詞。
  • は:係助詞。
  • 源(げん)氏(じ):名詞。
  • 箙(えびら):名詞。矢を入れて背負う武具。
  • を:格助詞。
  • 叩(たた)い:カ行四段活用「叩く」の連用形のイ音便。
  • て:接続助詞。
  • どよめき:カ行四段活用「どよめく」の連用形。
  • けり:過去の助動詞「けり」の終止形。

「扇の的」品詞分解(4)あまりの面白さに、感に堪へざるにや

あまりの面白(おもしろ)さに、
  • あまり:名詞。程度がはなはだしいこと。
  • の:格助詞。連体修飾。
  • 面白(おもしろ)さ:名詞。形容詞「面白し」の語幹に接尾語「さ」が付いたもの。すばらしさ。見事さ。
  • に:格助詞。原因・理由。
感(かん)に堪(た)へざるにやとおぼしくて、
  • 感(かん):名詞。感動。
  • に:格助詞。
  • 堪(た)へ:ハ行下二段活用「堪ふ」の未然形。
  • ざる:打消の助動詞「ず」の連体形。
  • に:断定の助動詞「なり」の連用形。
  • や:係助詞。疑問。結びの「あらん」などが省略されている。
  • と:格助詞。引用。
  • おぼしく:シク活用の形容詞「おぼし」の連用形。~と思われる。
  • て:接続助詞。
船(ふね)の中(うち)より、年(とし)五(ご)十(じふ)ばかりなる男(をとこ)の、
  • 船(ふね):名詞。
  • の:格助詞。
  • 中(うち):名詞。
  • より:格助詞。起点。~から。
  • 年(とし):名詞。
  • 五(ご)十(じふ):名詞。
  • ばかり:副助詞。程度。~ほど。
  • なる:断定の助動詞「なり」の連体形。
  • 男(をとこ):名詞。
  • の:格助詞。同格。~で。
黒(くろ)革(かは)威(をどし)の鎧(よろひ)着(き)て、白(しら)柄(え)の長刀(なぎなた)持(も)ったるが、
  • 黒(くろ)革(かは)威(をどし):名詞。
  • の:格助詞。
  • 鎧(よろひ):名詞。
  • 着(き):カ行上一段活用「着る」の連用形。
  • て:接続助詞。
  • 白(しら)柄(え):名詞。
  • の:格助詞。
  • 長刀(なぎなた):名詞。
  • 持(も)っ:タ行四段活用「持つ」の連用形の促音便。
  • たる:存続の助動詞「たり」の連体形。
  • が:格助詞。主格。
扇(あふぎ)立(た)てたりける所(ところ)に立(た)って舞(ま)ひしめたり。
  • 扇(あふぎ):名詞。
  • 立(た)て:タ行下二段活用「立つ」の連用形。
  • たり:存続の助動詞「たり」の連用形。
  • ける:過去の助動詞「けり」の連体形。
  • 所(ところ):名詞。
  • に:格助詞。場所。
  • 立(た)っ:タ行四段活用「立つ」の連用形の促音便。
  • て:接続助詞。
  • 舞(ま)ひしめ:マ行下二段活用「舞ひしむ」の連用形。舞い始める。
  • たり:完了の助動詞「たり」の終止形。
伊勢(いせの)三郎(さぶらう)義盛(よしもり)、与(よ)一(いち)が後(うしろ)へ歩(あゆ)ませ寄(よ)って、
  • 伊勢(いせの)三郎(さぶらう)義盛(よしもり):名詞。人名。
  • 与(よ)一(いち):名詞。人名。
  • が:格助詞。連体修飾。
  • 後(うしろ):名詞。
  • へ:格助詞。方向。
  • 歩(あゆ)ま:マ行四段活用「歩む」の未然形。
  • せ:使役の助動詞「す」の連用形。
  • 寄(よ)っ:ラ行四段活用「寄る」の連用形の促音便。
  • て:接続助詞。
「御諚(ごぢやう)ぞ、仕(つかまつ)れ」
  • 御諚(ごぢやう):名詞。ご命令。
  • ぞ:係助詞。強意。文末に用いて念を押す。
  • 仕(つかまつ)れ:ラ行四段活用「仕る」の命令形。謙譲語。いたせ。伊勢三郎義盛から判官への敬意。
といひければ、今(こん)度(ど)は中差(なかざし)取(と)って打(う)ちくはせ、
  • と:格助詞。引用。
  • いひ:ハ行四段活用「いふ」の連用形。
  • けれ:過去の助動詞「けり」の已然形。
  • ば:接続助詞。確定条件。~ので。
  • 今(こん)度(ど):名詞。
  • は:係助詞。
  • 中差(なかざし):名詞。
  • 取(と)っ:ラ行四段活用「取る」の連用形の促音便。
  • て:接続助詞。
  • 打(う)ちくはせ:サ行下二段活用「打ちくはす」の連用形。矢を弓の弦につがえる。
よっ引(ぴ)いて、しや頸(くび)の骨(ほね)をひやうふつと射(い)て、
  • よっ引(ぴ)い:カ行四段活用「よっ引く」の連用形のイ音便。弓を十分に引き絞る。
  • て:接続助詞。
  • しや頸(くび):名詞。「しや」は、ののしる気持ちを表す接頭語。
  • の:格助詞。
  • 骨(ほね):名詞。
  • を:格助詞。
  • ひやうふつと:副詞。矢が飛んで突き刺さる音。
  • 射(い):ヤ行上一段活用「射る」の連用形。
  • て:接続助詞。
船底(ふなぞこ)へまさかさまに射(い)倒(たふ)す。
  • 船底(ふなぞこ):名詞。
  • へ:格助詞。方向。
  • まさかさまに:ナリ活用の形容動詞「まさかさまなり」の連用形。
  • 射(い)倒(たふ)す:サ行四段活用「射倒す」の終止形。
平(へい)家(け)の方(かた)には音(おと)もせず、
  • 平(へい)家(け):名詞。
  • の:格助詞。
  • 方(かた):名詞。
  • に:格助詞。
  • は:係助詞。
  • 音(おと):名詞。
  • も:係助詞。
  • せ:サ行変格活用「す」の未然形。
  • ず:打消の助動詞「ず」の連用形。
源(げん)氏(じ)の方(かた)にはまた箙(えびら)を叩(たた)いてどよめきけり。
  • 源(げん)氏(じ):名詞。
  • の:格助詞。
  • 方(かた):名詞。
  • に:格助詞。
  • は:係助詞。
  • また:副詞。
  • 箙(えびら):名詞。
  • を:格助詞。
  • 叩(たた)い:カ行四段活用「叩く」の連用形のイ音便。
  • て:接続助詞。
  • どよめき:カ行四段活用「どよめく」の連用形。
  • けり:過去の助動詞「けり」の終止形。
「あ、射(い)たり」といふ人(ひと)もあり、
  • あ:感動詞。
  • 射(い):ヤ行上一段活用「射る」の連用形。
  • たり:完了の助動詞「たり」の終止形。
  • と:格助詞。引用。
  • いふ:ハ行四段活用「いふ」の連体形。
  • 人(ひと):名詞。
  • も:係助詞。
  • あり:ラ行変格活用「あり」の連用形。
また、「情(なさ)けなし」といふ者(もの)もあり。
  • また:接続詞。
  • 情(なさ)けなし:ク活用の形容詞「情けなし」の終止形。思いやりがない。
  • と:格助詞。引用。
  • いふ:ハ行四段活用「いふ」の連体形。
  • 者(もの):名詞。
  • も:係助詞。
  • あり:ラ行変格活用「あり」の終止形。

「扇の的」の係り結びまとめ

係助詞「ぞ・なむ・や・か」があると文末は連体形、「こそ」があると文末は已然形になります。「扇の的」に出てくる係り結びは次のとおりです。

本文係助詞結び(活用形)
晴れならずといふことぞなきぞなき(連体形)
扇も射よげにぞなったりけるぞける(連体形)
ひふつとぞ射切ったるぞたる(連体形)
扇は空へぞ挙がりけるぞける(連体形)
海へさとぞ散りたりけるぞける(連体形)
感に堪へざるにや(あらん)や省略(「あらん」などが省略されている)

「扇の的」の敬語表現と敬意の方向まとめ

尊敬語

敬語方向意味
たばせたまへ那須与一 → 神仏お与えください
おぼしめさば那須与一 → 神仏お思いになるならば
はづさせたまふな那須与一 → 神仏お外しにならないでください

謙譲語

敬語方向意味
仕れ伊勢三郎義盛 → 判官いたせ

「扇の的」の現代語訳

「扇の的」の原文と現代語訳、語釈については、平家物語「扇の的」原文・現代語訳をご覧ください。

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