このページでは、『平家物語』の「祇園精舎」を5つのまとまりに分け、原文の品詞分解を紹介します。動詞・形容詞・形容動詞の活用形や、助動詞・助詞の働きを確認できます。
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目次
「祇園精舎」品詞分解(1)祇園精舎の鐘の声
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祇園精舎の鐘の声、
- 祇園精舎:名詞。釈迦が説法をした僧院の名。
- の:格助詞。連体修飾。
- 鐘:名詞。
- の:格助詞。連体修飾。
- 声:名詞。ここでは鐘の音。
諸行無常の響きあり。
- 諸行無常:名詞。この世のすべてのものは絶えず移り変わるということ。
- の:格助詞。連体修飾。
- 響き:名詞。
- あり:ラ行変格活用「あり」の終止形。ある。
娑羅双樹の花の色、
- 娑羅双樹:名詞。釈迦が亡くなったとき、そばにあったと伝えられる娑羅の木。
- の:格助詞。連体修飾。
- 花:名詞。
- の:格助詞。連体修飾。
- 色:名詞。
盛者必衰のことわりをあらはす。
- 盛者必衰:名詞。栄える者も必ず衰えるということ。
- の:格助詞。連体修飾。
- ことわり:名詞。道理。
- を:格助詞。動作の対象。
- あらはす:サ行四段活用「あらはす」の終止形。表す。
おごれる人も久しからず、
- おごれ:ラ行四段活用「おごる」の已然形。思い上がる。
- る:存続の助動詞「り」の連体形。「思い上がっている」の意。四段活用の已然形に接続している。
- 人:名詞。
- も:係助詞。
- 久しから:シク活用の形容詞「久し」の未然形。長く続く。
- ず:打消の助動詞「ず」の終止形。「長くは続かない」の意。
ただ春の夜の夢のごとし。
- ただ:副詞。ただ。まるで。
- 春:名詞。
- の:格助詞。連体修飾。
- 夜:名詞。
- の:格助詞。連体修飾。
- 夢:名詞。
- の:格助詞。比況の助動詞「ごとし」に続く。
- ごとし:比況の助動詞「ごとし」の終止形。~のようである。
たけき者もつひにほろびぬ、
- たけき:ク活用の形容詞「たけし」の連体形。勢いが激しい。
- 者:名詞。
- も:係助詞。
- つひに:副詞。とうとう。最後には。
- ほろび:バ行上二段活用「ほろぶ」の連用形。滅びる。
- ぬ:完了の助動詞「ぬ」の終止形。~てしまう。連用形「ほろび」に接続しており、打消ではない。
ひとへに風の前の塵に同じ。
- ひとへに:副詞。まったく。ひたすら。
- 風:名詞。
- の:格助詞。連体修飾。
- 前:名詞。
- の:格助詞。連体修飾。
- 塵:名詞。
- に:格助詞。比較の対象。「塵と同じ」の意。
- 同じ:シク活用の形容詞「同じ」の終止形。同じである。
「祇園精舎」品詞分解(2)遠く異朝をとぶらへば
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遠く異朝をとぶらへば、
- 遠く:ク活用の形容詞「遠し」の連用形。
- 異朝:名詞。外国。ここでは中国。
- を:格助詞。動作の対象。
- とぶらへ:ハ行四段活用「とぶらふ」の已然形。尋ねる。ここでは過去の例を調べる。
- ば:接続助詞。已然形に接続する確定条件。ここでは「調べてみると」の意。
秦の趙高、漢の王莽、
- 秦:名詞。中国の王朝名。
- の:格助詞。連体修飾。
- 趙高:名詞。人名。
- 漢:名詞。中国の王朝名。
- の:格助詞。連体修飾。
- 王莽:名詞。人名。
梁の周伊、唐の禄山、
- 梁:名詞。中国の王朝名。
- の:格助詞。連体修飾。
- 周伊:名詞。人名。
- 唐:名詞。中国の王朝名。
- の:格助詞。連体修飾。
- 禄山:名詞。人名。
これらはみな旧主先皇の政にもしたがはず、
- これ:代名詞。直前に挙げた趙高・王莽・周伊・禄山を指す。
- ら:接尾語。複数を表す。
- は:係助詞。
- みな:副詞。すべて。みんな。
- 旧主:名詞。かつての主君。
- 先皇:名詞。先の皇帝。
- の:格助詞。連体修飾。
- 政:名詞。政治。
- に:格助詞。「したがふ」の対象。
- も:係助詞。
- したがは:ハ行四段活用「したがふ」の未然形。従う。
- ず:打消の助動詞「ず」の連用形。「従わず」の意。
楽しみをきはめ、諫めをおもひいれず、
- 楽しみ:名詞。
- を:格助詞。動作の対象。
- きはめ:マ行下二段活用「きはむ」の連用形。限りを尽くす。
- 諫め:名詞。過ちを改めるようにする忠告。
- を:格助詞。動作の対象。
- おもひいれ:ラ行下二段活用「おもひいる」の未然形。深く心に留める。
- ず:打消の助動詞「ず」の連用形。「心に留めず」の意。
天下のみだれむことをさとらずして、
- 天下:名詞。世の中。
- の:格助詞。主格。「天下が乱れる」の意。
- みだれ:ラ行下二段活用「みだる」の未然形。乱れる。
- む:推量の助動詞「む」の連体形。~だろう。後の名詞「こと」を修飾する。
- こと:名詞。
- を:格助詞。動作の対象。
- さとら:ラ行四段活用「さとる」の未然形。気づく。
- ず:打消の助動詞「ず」の連用形。
- して:接続助詞。「ずして」で「~ないで」の意。
民間の愁ふるところをしらざりしかば、
- 民間:名詞。ここでは民の間。
- の:格助詞。主格。「民が苦しんでいる」の意。
- 愁ふる:ハ行下二段活用「愁ふ」の連体形。苦しむ。嘆く。
- ところ:名詞。ここでは事柄や状況を指す。
- を:格助詞。動作の対象。
- しら:ラ行四段活用「しる」の未然形。知る。
- ざり:打消の助動詞「ず」の連用形。過去の助動詞「き」に続く形。
- しか:過去の助動詞「き」の已然形。
- ば:接続助詞。已然形に接続し、原因・理由を表す。「知らなかったので」の意。
久しからずして亡じし者どもなり。
- 久しから:シク活用の形容詞「久し」の未然形。長く続く。
- ず:打消の助動詞「ず」の連用形。
- して:接続助詞。「久しからずして」で「長くは続かずに」の意。
- 亡じ:サ行変格活用「亡ず」の連用形。滅びる。
- し:過去の助動詞「き」の連体形。後の名詞「者」を修飾する。
- 者:名詞。
- ども:接尾語。複数を表す。
- なり:断定の助動詞「なり」の終止形。~である。体言「者ども」に接続している。
「祇園精舎」品詞分解(3)近く本朝をうかがふに
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近く本朝をうかがふに、
- 近く:ク活用の形容詞「近し」の連用形。
- 本朝:名詞。自分の国。ここでは日本。
- を:格助詞。動作の対象。
- うかがふ:ハ行四段活用「うかがふ」の連体形。様子を見る。調べる。ここでは謙譲語としての「尋ねる」ではない。
- に:接続助詞。連体形に接続し、後の内容へ続ける。「日本の例を見ると」の意。
承平の将門、天慶の純友、
- 承平:名詞。年号。
- の:格助詞。連体修飾。
- 将門:名詞。平将門。
- 天慶:名詞。年号。
- の:格助詞。連体修飾。
- 純友:名詞。藤原純友。
康和の義親、平治の信頼、
- 康和:名詞。年号。
- の:格助詞。連体修飾。
- 義親:名詞。源義親。
- 平治:名詞。年号。
- の:格助詞。連体修飾。
- 信頼:名詞。藤原信頼。
これらはおごれる心もたけきことも
- これ:代名詞。直前に挙げた将門・純友・義親・信頼を指す。
- ら:接尾語。複数を表す。
- は:係助詞。
- おごれ:ラ行四段活用「おごる」の已然形。思い上がる。
- る:存続の助動詞「り」の連体形。「思い上がっている」の意。
- 心:名詞。
- も:係助詞。後の「ことも」と対応する。
- たけき:ク活用の形容詞「たけし」の連体形。勢いが激しい。
- こと:名詞。
- も:係助詞。前の「心も」と対応する。
みなとりどりにこそありしかども、
- みな:副詞。すべて。みんな。
- とりどりに:ナリ活用の形容動詞「とりどりなり」の連用形。それぞれに異なっている。
- こそ:係助詞。強調。後の「しか」に接続助詞「ども」が付いて文が続くため、結びの流れとなる。
- あり:ラ行変格活用「あり」の連用形。
- しか:過去の助動詞「き」の已然形。後の接続助詞「ども」に続く形。
- ども:接続助詞。已然形に接続する逆接の確定条件。~けれども。
まぢかくは六波羅の入道、
- まぢかく:ク活用の形容詞「まぢかし」の連用形。ここでは時代が近いことを表す。
- は:係助詞。
- 六波羅:名詞。京都の地名。
- の:格助詞。連体修飾。
- 入道:名詞。出家した人。ここでは平清盛。
前太政大臣平朝臣清盛公と申し人のありさま、
- 前太政大臣:名詞。以前、太政大臣を務めた人。「前」は「さきの」と読む。
- 平朝臣清盛公:名詞。平清盛の姓名・称号。
- と:格助詞。呼び名を示す引用。
- 申し:サ行四段活用「申す」の連用形に当たる形。「言ふ」の謙譲語。ここでは「という」の意。「申し人」は、連用形の後に名詞が続く、通常の連体修飾とは異なる表記。
- 人:名詞。平清盛を指す。
- の:格助詞。連体修飾。
- ありさま:名詞。様子。
伝へうけたまはるこそ心も詞も及ばれね。
- 伝へ:ハ行下二段活用「伝ふ」の連用形。ここでは人づてに知ることを表す。
- うけたまはる:ラ行四段活用「うけたまはる」の連体形。「聞く」「伝え聞く」の謙譲語。連体形の準体法で、「伝え聞くこと」を表す。
- こそ:係助詞。強調。文末の「ね」を已然形にする係り結び。
- 心:名詞。ここでは心で思い描くこと。
- も:係助詞。後の「詞も」と対応する。
- 詞:名詞。言葉。
- も:係助詞。前の「心も」と対応する。
- 及ば:バ行四段活用「及ぶ」の未然形。届く。
- れ:可能の助動詞「る」の未然形。~できる。ここでは尊敬ではない。
- ね:打消の助動詞「ず」の已然形。「こそ」の結び。「心も詞も及ばれね」で、想像することも言葉で表すこともできないという意。
「祇園精舎」品詞分解(4)その先祖を尋ぬれば
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その先祖を尋ぬれば、
- そ:代名詞。ここでは平清盛を指す。
- の:格助詞。連体修飾。
- 先祖:名詞。
- を:格助詞。動作の対象。
- 尋ぬれ:ナ行下二段活用「尋ぬ」の已然形。たどる。調べる。
- ば:接続助詞。已然形に接続する確定条件。「先祖をたどると」の意。
桓武天皇第五の皇子、一品式部卿葛原親王
- 桓武天皇:名詞。天皇の名。
- 第五:名詞。順序を表し、ここでは5番目の意。
- の:格助詞。連体修飾。
- 皇子:名詞。天皇の子。
- 一品:名詞。親王・内親王に与えられる最も高い位。
- 式部卿:名詞。官職名。式部省の長官。
- 葛原親王:名詞。親王の名。
九代の後胤讃岐守正盛が孫、
- 九代:名詞。9代。
- の:格助詞。連体修飾。
- 後胤:名詞。子孫。
- 讃岐守:名詞。官職名。讃岐国の国司の長官。
- 正盛:名詞。平正盛。
- が:格助詞。連体修飾。「正盛の孫」の意。
- 孫:名詞。
刑部卿忠盛朝臣の嫡男なり。
- 刑部卿:名詞。官職名。刑部省の長官。
- 忠盛朝臣:名詞。平忠盛の姓名・称号。
- の:格助詞。連体修飾。
- 嫡男:名詞。家を継ぐ男子。
- なり:断定の助動詞「なり」の終止形。~である。体言「嫡男」に接続している。
かの親王の御子、高視王
- か:代名詞。前に述べた葛原親王を指す。
- の:格助詞。連体修飾。「かの」で「あの」の意。
- 親王:名詞。ここでは葛原親王。
- の:格助詞。連体修飾。
- 御:接頭語。敬意を表す。「御子」で「お子」の意。
- 子:名詞。
- 高視王:名詞。王の名。
無官無位にして、うせたまひぬ。
- 無官無位:名詞。官職も位階もないこと。
- に:断定の助動詞「なり」の連用形。
- して:接続助詞。「にして」で「~であって」の意。ここでは官職も位階もないまま、ということ。
- うせ:サ行下二段活用「うす」の連用形。亡くなる。
- たまひ:ハ行四段活用「たまふ」の連用形。尊敬の補助動詞。~なさる。ここでは高視王の動作を敬う。
- ぬ:完了の助動詞「ぬ」の終止形。「亡くなられた」の意。
その御子高望の王のとき
- そ:代名詞。高視王を指す。
- の:格助詞。連体修飾。
- 御:接頭語。敬意を表す。
- 子:名詞。ここでは高望王。
- 高望:名詞。王の名。
- の:格助詞。連体修飾。
- 王:名詞。皇族の称号。
- の:格助詞。連体修飾。
- とき:名詞。ここでは高望王の代。
始めて平の姓をたまひて、
- 始めて:副詞。初めて。
- 平:名詞。氏の名。
- の:格助詞。連体修飾。
- 姓:名詞。ここでは「平」という氏の名。
- を:格助詞。動作の対象。
- たまひ:ハ行四段活用「たまふ」の連用形。「与ふ」の尊敬語。お与えになる。姓を授ける天皇の動作を敬う。高望王の側から訳すと「姓を授けられ」の意。
- て:接続助詞。
上総介になりたまひしより、
- 上総介:名詞。官職名。上総国の国司の次官。
- に:格助詞。変化の結果。
- なり:ラ行四段活用「なる」の連用形。~になる。断定の助動詞「なり」ではない。
- たまひ:ハ行四段活用「たまふ」の連用形。尊敬の補助動詞。高望王の動作を敬う。
- し:過去の助動詞「き」の連体形。
- より:格助詞。時の起点。「上総介になられたときから」の意。
たちまちに王氏を出でて人臣につらなる。
- たちまちに:副詞。すぐに。
- 王氏:名詞。王族。
- を:格助詞。離れるところを示す。「王族の身分を離れて」の意。
- 出で:ダ行下二段活用「出づ」の連用形。出る。離れる。
- て:接続助詞。
- 人臣:名詞。臣下。
- に:格助詞。「つらなる」の対象。「臣下の列に加わる」の意。
- つらなる:ラ行四段活用「つらなる」の終止形。列に加わる。
「祇園精舎」品詞分解(5)その子鎮守府将軍義茂
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その子鎮守府将軍義茂
- そ:代名詞。高望王を指す。
- の:格助詞。連体修飾。
- 子:名詞。
- 鎮守府将軍:名詞。官職名。鎮守府の長官。
- 義茂:名詞。後に国香と名を改めた人物。
後には国香とあらたむ。
- 後:名詞。後の時。
- に:格助詞。時を示す。
- は:係助詞。
- 国香:名詞。人名。
- と:格助詞。変更後の名を示す。
- あらたむ:マ行下二段活用「あらたむ」の終止形。改める。ここでは名を改める。
国香より正盛に至るまで、
- 国香:名詞。人名。
- より:格助詞。起点。~から。
- 正盛:名詞。人名。
- に:格助詞。到達点。
- 至る:ラ行四段活用「至る」の連体形。
- まで:副助詞。範囲の限界を表す。
六代は諸国の受領たりしかども、
- 六代:名詞。6代。
- は:係助詞。
- 諸国:名詞。
- の:格助詞。連体修飾。
- 受領:名詞。任地の政治を担う国司の最高責任者。
- たり:断定の助動詞「たり」の連用形。~である。体言「受領」に接続しており、完了・存続の助動詞「たり」ではない。
- しか:過去の助動詞「き」の已然形。
- ども:接続助詞。已然形に接続する逆接の確定条件。「受領であったけれども」の意。
殿上の仙籍をばいまだゆるされず。
- 殿上:名詞。ここでは清涼殿の殿上の間。
- の:格助詞。連体修飾。
- 仙籍:名詞。ここでは殿上人の名簿。また、そこに名を連ねて昇殿を許される資格。
- を:格助詞。動作の対象。
- ば:係助詞「は」が濁音化したもの。「をば」の形で対象を取り立てる。接続助詞「ば」ではない。
- いまだ:副詞。打消と呼応して「まだ~ない」の意。
- ゆるさ:サ行四段活用「ゆるす」の未然形。許す。
- れ:受身の助動詞「る」の未然形。~される。ここでは尊敬・可能ではない。
- ず:打消の助動詞「ず」の終止形。「まだ許されていない」の意。
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