このページでは、『紫式部日記』の「土御門邸の秋」について、原文の品詞分解をまとめています。現代語訳とあわせて確認したい方は、紫式部日記「土御門邸の秋」現代語訳をご覧ください。
目次
「土御門邸の秋」の品詞分解
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秋のけはひ入り立つままに
秋のけはひ入り立つままに、
- 秋:名詞。
- の:格助詞。
- けはひ:名詞。気配。様子。
- 入り立つ:タ行四段活用「入り立つ」の連体形。(季節などが)来始める。立ちそめる。
- まま:名詞。~につれて。~とともに。
- に:格助詞。
土御門殿のありさま、
- 土御門殿:名詞。藤原道長の邸宅。
- の:格助詞。
- ありさま:名詞。様子。状態。
いはむかたなくをかし。
- いは:ハ行四段活用「言ふ」の未然形。
- む:婉曲の助動詞「む」の連体形。「言はむかた」で「言うような方法・言いよう」の意。
- かた:名詞。方法。手段。
- なく:ク活用の形容詞「なし」の連用形。
- をかし:シク活用の形容詞「をかし」の終止形。趣深い。美しい。
池のわたりの梢ども、
- 池:名詞。
- の:格助詞。
- わたり:名詞。あたり。周辺。
- の:格助詞。
- 梢:名詞。木の枝の先。
- ども:接尾語。複数を表す。
遣水のほとりの草むら、
- 遣水:名詞。庭に造られたせせらぎ。
- の:格助詞。
- ほとり:名詞。そば。あたり。
- の:格助詞。
- 草むら:名詞。草が群がって生えている所。
己がじし色づきわたりつつ、
- 己がじし:副詞。それぞれに。めいめいに。
- 色づきわたり:ラ行四段活用「色づきわたる」の連用形。一面に色づく。
- つつ:接続助詞。動作・状態の継続を表す。~ながら。~つづけて。
大方の空も艶なるにもてはやされて
大方の空も艶なるに
- 大方:名詞。あたり一帯。全体。
- の:格助詞。
- 空:名詞。
- も:係助詞。
- 艶なる:ナリ活用の形容動詞「艶なり」の連体形。美しく趣がある。
- に:格助詞。ここでは原因・よりどころを表し、「その美しさによって」の意。
もてはやされて、
- もてはやさ:サ行四段活用「もてはやす」の未然形。引き立たせる。美しく見せる。
- れ:受身の助動詞「る」の連用形。「引き立てられて」の意。
- て:接続助詞。
不断の御読経の声々
- 不断:名詞。絶え間がないこと。
- の:格助詞。
- 御読経:名詞。読経。「御」は接頭語。
- の:格助詞。
- 声々:名詞。多くの声。
あはれ増さりけり。
- あはれ:名詞、またはナリ活用の形容動詞「あはれなり」の語幹。しみじみとした感慨。情趣。
- 増さり:ラ行四段活用「増さる」の連用形。いっそう強くなる。
- けり:過去・詠嘆の助動詞「けり」の終止形。ここでは詠嘆。「~ことよ」の意。
やうやう涼しき風のけはひに
やうやう涼しき風のけはひに、
- やうやう:副詞。だんだん。しだいに。
- 涼しき:シク活用の形容詞「涼し」の連体形。
- 風:名詞。
- の:格助詞。
- けはひ:名詞。気配。様子。
- に:格助詞。
例の絶えせぬ水の音なひ、
- 例:名詞。いつものこと。
- の:格助詞。「例の」で「いつもの」の意。
- 絶えせ:サ行変格活用「絶えす」の未然形。絶える。途切れる。
- ぬ:打消の助動詞「ず」の連体形。「絶えせぬ」で「絶えない」の意。
- 水:名詞。ここでは遣水。
- の:格助詞。
- 音なひ:名詞。物音。響き。
夜もすがら
- 夜もすがら:副詞。一晩中。夜通し。
聞き紛はさる。
- 聞き紛はさ:サ行四段活用「聞き紛はす」の未然形。ほかの音と入り混じって聞こえる。
- る:自発の助動詞「る」の終止形。自然と入り混じって聞こえる、の意。
御前にも、近うさぶらふ人々
御前にも、
- 御前:名詞。中宮彰子の御前・おそば。
- に:格助詞。
- も:係助詞。
近うさぶらふ人々
- 近う:ク活用の形容詞「近し」の連用形「近く」のウ音便。
- さぶらふ:ハ行四段活用「さぶらふ」の連体形。謙譲語・本動詞。「お仕えする」。
- 人々:名詞。ここでは女房たち。
はかなき物語するを
- はかなき:ク活用の形容詞「はかなし」の連体形。とりとめもない。たわいない。
- 物語する:サ行変格活用「物語す」の連体形。話をする。雑談する。
- を:格助詞。
聞こしめしつつ、
- 聞こしめし:サ行四段活用「聞こしめす」の連用形。尊敬語・本動詞。「お聞きになる」。
- つつ:接続助詞。動作の継続・並行を表す。~ながら。
悩ましうおはしますべかめるを、
- 悩ましう:シク活用の形容詞「悩まし」の連用形「悩ましく」のウ音便。心身がつらい。気分がすぐれない。
- おはします:サ行四段活用「おはします」の終止形。尊敬語・補助動詞。「~ていらっしゃる」。
- べか:推量の助動詞「べし」の連体形「べかる」が撥音便化した「べかん」の撥音が表記されない形。ここでは推量。
- める:推定の助動詞「めり」の連体形。「~ようだ」の意。
- を:接続助詞。逆接。「~のに」の意。
さりげなくもて隠させたまへる
- さりげなく:ク活用の形容詞「さりげなし」の連用形。何気ないように。
- もて隠さ:サ行四段活用「もて隠す」の未然形。隠す。表に出さない。
- せ:尊敬の助動詞「す」の連用形。
- たまへ:ハ行四段活用「給ふ」の已然形。尊敬の補助動詞。「~なさる」。「せ給ふ」で二重敬語。
- る:存続の助動詞「り」の連体形。「~していらっしゃる」の意。
御有様などの、
- 御有様:名詞。ご様子。「御」は接頭語。
- など:副助詞。
- の:格助詞。ここでは主格。「~が」の意。
いとさらなることなれど、
- いと:副詞。たいそう。まことに。
- さらなる:ナリ活用の形容動詞「さらなり」の連体形。今さら言うまでもない。もちろんである。
- こと:名詞。
- なれ:断定の助動詞「なり」の已然形。
- ど:接続助詞。逆接。「~けれど」の意。
憂き世の慰めには
憂き世の慰めには、
- 憂き:ク活用の形容詞「憂し」の連体形。つらい。思うようにならない。
- 世:名詞。世の中。
- の:格助詞。
- 慰め:名詞。気分を晴らすもの。心を慰めるもの。
- に:格助詞。
- は:係助詞。
かかる御前をこそ
- かかる:ラ行変格活用「かかり」の連体形。このような。
- 御前:名詞。中宮彰子を指す敬称。
- を:格助詞。
- こそ:係助詞。強意。「けれ」と係り結びをつくる。
尋ね参るべかりけれと、
- 尋ね:ナ行下二段活用「尋ぬ」の連用形。探し求める。
- 参る:ラ行四段活用「参る」の終止形。謙譲語・本動詞。「参上する」「お仕え申し上げる」。ここでは中宮彰子に仕える意。
- べかり:当然・適当の助動詞「べし」の連用形。「~べきだ」の意。
- けれ:過去・詠嘆の助動詞「けり」の已然形。ここでは詠嘆。「こそ」の係り結び。
- と:格助詞。引用。
現し心をば引き違へ、
- 現し心:名詞。普段の心。平常の心。
- を:格助詞。
- ば:係助詞。「をば」で目的語を強調する。
- 引き違へ:ハ行下二段活用「引き違ふ」の連用形。すっかり変える。うって変わる。
たとしへなくよろづ忘らるるも、
- たとしへなく:ク活用の形容詞「たとしへなし」の連用形。たとえようもなく。比べようもなく。
- よろづ:名詞。すべて。あらゆること。
- 忘ら:ラ行四段活用「忘る」の未然形。
- るる:自発の助動詞「る」の連体形。「自然と忘れられる」の意。
- も:係助詞。
かつはあやし。
- かつは:副詞。一方では。一つには。
- あやし:シク活用の形容詞「あやし」の終止形。不思議だ。
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