「彩」の部首と成り立ち|采と彡で「いろどり」を意味する理由

「彩」という漢字は、左側の「采」と部首「彡」で成り立っています。

左側の「采」の読み方は「さい」、部首の「彡」は「さんづくり」または「けかざり」と読みます。

「彩」は音読みで「さい」、訓読みで「いろど(り)、いろど(る)」と読み、人名で使われる「あや」は、実は常用外の読み方です。

この記事では、「彩」の部首と成り立ち、「いろどり」を意味する理由についてわかりやすく解説します。

目次

「彩」の部首「彡」の読み方と意味

「彡」の読み方と意味

「彩」の部首は「彡」部で、読み方は「さんづくり」または「けかざり」です。

「彡」は象形文字で、「美しく飾った髪の毛の形」あるいは「光が差し込む様子」を表すといわれています。

私の手元にある漢字辞典『角川新字源』にはありませんでしたが、「かみかざり」と呼ばれることもあるようです。

漢字としての読み方は「さん」と「せん」の2種類がありますが、「彡」が単独で使われることはほとんどない、というか私自身は一度も見たことがありません。

「彡」が使われる漢字

「彡」は部首として、多くの漢字に使用されています。

「彩」もしかり、「形」の部首が「彡」であるように、目に見える形や模様、色合い、そして光を表す部首です。

光に関連する漢字としては、「影」の部首も「彡」であり、影とは「光が当たって見える形」のことです。

そのほかにも「彡」には形や模様を「作り出す」役割もあり、彫刻の「彫」や表彰の「彰」にも使われています。

ちなみに、男性の名前でよく使われる「彦」にも、「彡」がありますね。

「彦」は立派な男性、美しい男性を表す漢字で、それに頭部を表す部首「頁(おおがい)」を付けたのが「顔」です。

このように「彡」には、美しい形や色そのものだけでなく、美しく形作ったり色取ったりする意味があります。

「彩」の左側「采」の意味

「彩」の左側は、采配さいはい喝采かっさいの「さい」という漢字です。

采は「爪」と「木」を組み合わせて作られた会意文字で、「爪(手)で木から果実などを取る様子」を意味します。

本来は「取る」「選び取る」の意味でしたが、四季折々の色彩豊かな果実を取ることから派生して、「采」単独でも「いろどり」を意味するようになりました。

采+彡で「いろどり」を意味する理由

一説によると、「彩」より先に、「采」が存在していたといわれています。

「いろどり」の意味を強調・分化させるために、「彩」という漢字が後から作られたという説です。

つまり、「彩」の左側だけでも既に「いろどり」を意味しており、「彡」を付け加えることでより際立たせた漢字なのです。

前述した通り、「彡」は「美しく飾った髪の毛の形」あるいは「光が差し込む様子」を表す象形文字です。

「采」と「彡」で成り立つ「彩」が「いろどり」を意味する理由について、これ以上の説明は要りませんね。

「彩」の音読みと意味

「彩」は中国語で「cǎi(ツァイ)」と発音します。

中国語の発音をもとにした、日本語の音読みが「さい」です。

色彩しきさい彩雲さいうんというように、「色とりどりに美しい」という意味を持つ熟語に使われています。

「彩」の訓読みは『源氏物語』にも登場する古語

「彩」の訓読み、「いろど(る)」という言葉は古語辞典にも載っており、『源氏物語』にも登場する古くから伝わる日本語です。

絵など描きて、いろどりたまふ。

紫式部『源氏物語』 – 第6帖「末摘花」

「彩る」または「色取る」の漢字を当てて、「彩色する」「色を付ける」という現代と同じ意味で使われています。

原義としては「その物にふさわしい色を塗る」であり、「装飾する」「化粧する」といった意味もあります。

ただ色を付けるのではなく、それによって美しさや風情がプラスされることも含めて「いろどり」なのですね。

「彩」が名前で人気な理由

ちなみに「彩」は人名にもよく用いられる漢字ですが、代表的な「あや」という読み方は、実は常用外です。

「彩」を「あや」と読むケースがまったくなかったわけではないようですが、現代のように一般的な読み方となったのは、名前として人気が広まった1980年代頃からのようです。

「彩」という漢字には、「美しい色どり」「華やかさ」「豊かな個性」といったイメージがあります。

そのため、

  • 人生を明るく彩ってほしい
  • 感性豊かな人になってほしい
  • 周囲を華やかにする存在になってほしい

といった願いを込めて、名前に使われることが多いようです。

また、「彩」は見た目も整っており、「彡」の流れるような形から、やわらかく美しい印象を受ける漢字でもあります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

うつ病で生きづらさを抱えていた30代の頃に、鴨長明『方丈記』を読んで大共感。「人の悩みは昔も今も変わらないものだ」としみじみ感じ、学生時代はまったく興味がなかった古文や漢文の魅力に初めて気づきました。20年計画で『源氏物語』と『万葉集』の全訳にも挑戦中。万葉歌碑めぐりや街道歩きなど歴史探訪も好きです。

目次