枕草子「頃は正月」原文・語釈・現代語訳

目次

原文・語釈・現代語訳

頃は正月

原文・語釈

 ころは、正月、三月、四月、五月、七八九月、十一二月、すべておりにつけつつ、一年ひととせながらをかし。

 正月一日ついたちは、まいて空のけしきもうらうらと、めづらしうかすみめたるに、世にありとある人は皆、姿、かたちこころことにつくろひ、君をも我をも祝ひなどしたる、様異さまことにをかし。

語釈
  • ころ:時節。季節。
  • 一年ひととせながら:一年中。
  • まいて:「まして」のイ音便。
  • うらうら:明るくおだやかなさま。のどかに。うららかに。
  • めづらし【珍し】:すばらしい。
  • かすみむ:霞がいちめんに立ちこめる。
  • こころことに:格別に。
  • 君:主人として仕える人。主君。
  • 様異さまことに:いつもと違って。

現代語訳

 時節は、正月、3月、4月、5月、7~9月、11~12月、全部その時々に良さがあって、一年を通しておもしろい。

 正月1日は一段とうららかな空模様で、素晴らしい霞が一面に立ち込めているのに、世の人々は誰もかれも皆、身なりも顔だちも抜かりなく整えて、主人をも自分をも祝ったりしているのは、いつもと違う様子でおもしろい。

七日、雪間の若菜摘み

原文・語釈

 七日、ゆきの若菜摘み、あをやかにて、例はさしも、さるもの目近からぬ所に、もて騒ぎたるこそをかしけれ。

語釈
  • ゆき:積雪の消えたすき間。
  • あをやか:青々としているようす。
  • れいは【例は】:ふだんは。
  • さしも【然しも】:それほど。
  • さるもの【然るもの】:そんな物。
  • もて騒ぐ:大騒ぎする。
  • めちかし【目近し】:身近に見ている。見慣れている。

現代語訳

 7日、雪解けのすき間から顔を出している若菜を摘んで、青々としているので、普段はそれほど、そんな青菜なんかを近寄って見もしないような所なのに、大騒ぎをしているのがまたおもしろい。

白馬見にとて

原文・語釈

白馬あをうま見にとて、里人さとびとは車きよげにしたてて見にく。中御門なかのみかどのとじきみ引き過ぐるほど、頭一所かしらひとところにゆるぎあひ、刺櫛さしぐしも落ち、用意せねば折れなどして笑ふもまたをかし。

語釈
  • 白馬あをうま白馬あをうませちの略。
  • 里人さとびと:宮仕えをしていない人。民間人。宮仕えをしているが、自分の家に帰っている人。
  • 中御門なかのみかど:内裏東面の中央にある待賢門たいけんもんの異称。
  • とじきみ【戸閾】:門や部屋の障子・戸の下に敷いた仕切りのための横木。
  • 頭一所かしらひとところにゆるぎあひ:揺れる車内で頭がぶつかり合い。
  • 刺櫛さしぐし:髪飾り用にさした櫛。
  • 用意:心づもりをすること。

現代語訳

白馬あをうませちを見ようと、実家に下がっていた女房たちが車をきれいに仕立てて見に行く。中御門のしきいを通り過ぎる時、揺れる車内で頭がぶつかり合い、飾り櫛が落ちたり、気を抜くと折れたりもして、皆で笑うのもまた楽しい。

左衛門の陣のもとに

左衛さゑもんの陣のもとに、殿上人てんじやうびとなどあまた立ちて、舎人とねりの弓ども取りて、馬ども驚かし笑ふを、はつかに見入れたれば、立蔀たてじとみなどの見ゆるに、主殿司とのもりづかさ女官にようくわんなどのたがひたるこそをかしけれ。

語釈
  • 左衛さゑもんの陣:左衛門府の役人(宮中の門の警護役)の詰め所。内裏外郭の東にある建春門にあった。白馬の通路に当たる。
  • 舎人とねり:天皇や貴族の雑用や警護をした近衛府の下級役人。
  • はつかに【僅かに】:かすかに。わずかに。
  • 見入る:のぞく。
  • 立蔀たてじとみ:目隠しのために庭に立てる塀。
  • 主殿司とのもりづかさ:男子の「主殿寮」と同じ役目をする女性の役所。また、そこの女官。

現代語訳

左衛門の陣のあたりに殿上人などが大勢立って、舎人の弓を取っては馬たちを驚かして笑っているのを、車の中からちょっとのぞき見ると、庭の目隠しなどが見えるところを、主殿司とのもりづかさや女官などが行き来しているのもまたおもしろい。

いかばかりなる人

いかばかりなる人、九重ここのへをならすらむ、など思ひやらるるに、内裏うちにも見るはいとせばきほどにて、舎人とねりの顔のきぬにあらはれ、まことに黒きに、白きものいきつかぬ所は、雪のむらむら消え残りたるここしていと見苦しく、馬のあがり騒ぐなどもいと恐ろしう見ゆれば、引き入られてよくも見えず。

語釈
  • 九重ここのへ:宮中。皇居。
  • ならす【馴らす・慣らす】:なれ親しませる。なれさせる。
  • 思ひやる:想像をする。おしはかって案じる。
  • きぬ【衣】:肌。
  • 白きもの:おしろい。
  • 上がり騒ぐ:馬などが勢いよく跳ね上がってあばれ騒ぐ。

現代語訳

どれほどの人が宮中に馴染めるのでしょうか、とか想像してみるけれど、内裏の中でもこうして見えるのはほんの狭い一握り。舎人の顔の、露骨に見える肌が本当に真っ黒で、おしろいが行き届いていない部分は、雪が消え残ってできたムラのような感じで、かなり見苦しい。馬が跳ねて暴れ騒いでいるのも恐怖しかないので、体が車の奥に引っこんでしまってよく見えない。

八日、人のよろこびして

 八日、人のよろこびして走らする車の音、ことこえてをかし。

 十五日、節供せくまゐゑ、かゆの木ひき隠して、家のたちにようばうなどのうかがふを、打たれじと用意して、常にうしろを心づかひしたるけしきも、いとをかしきに、いかにしたるにかあらむ、打ちあてたるは、いみじうきようありてうち笑ひたるは、いとはえばえし。

語釈
  • よろこび【喜び・悦び・慶び】:お礼。とくに、任官や昇進などのお礼。
  • 節供せく:季節の変わり目(節句の日)に供える食事。1月7日は人日の節句。
  • まゐう:貴人にさしあげ、その前に置く。お供えする。
  • かゆ望粥もちがゆ(小豆粥)を食する風習があった。
  • かゆの木:望粥をたいた木の燃えさしを削って作った杖。これで女性の腰を打つと男子を産むという俗信があった。
  • 心づかひ:用心。
  • きようあり:おもしろい。楽しい。
  • はえばえし【映え映えし】:華やかで見ばえがする。はれがましい。誇らしい。

現代語訳

 8日、昇進した人がお礼回りに走らせる車の音、いつもよりも弾んで聞こえて楽しげ。

 15日、祝い膳の小豆粥を主人にさし上げて、その粥をたいた木べらを隠し持って、その家のベテラン女房が、若い女房の腰を叩こうとすきをうかがっている。若い女房たちが打たれまいと警戒して、常に背後を気にしている様子も笑えるけど、どうやってうまくやったのか、打ちあてた時は超ハイテンションで笑い合っているのは、とても晴れがましい。

ねたしと思ひたるもことわりなり

ねたしと思ひたるもことわりなり。新しう通ふ婿むこの君などの、内裏うちまゐるほどをも心もとなう、所につけて我はと思ひたるにようばうの、のぞき、けしきばみ、奥の方にたたずまふを、前にたる人は心得て笑ふを、「あなかま」とまねき制すれども、女はた知らず顔にて、おほどかにてたまへり。

語釈
  • ねたし【嫉し・妬し】:しゃくである。いまいましい。くやしい。
  • けしきばむ【気色ばむ】:わざとらしくふるまう。
  • あなかま:人の話を制することば。しっ、静かに。
  • まねく【招く】:手で合図する。
  • おほどか:おっとりしている。

現代語訳

打たれて悔しいと思うのも当然。新しく通ってくるようになった婿君などが、内裏へ参っている間は心もとない。その家で「我は」と思い上がっている女房がこっそりのぞいて、いかにも狙っている雰囲気を出して奥の方でじっと立っているのを、ターゲットの前に座っている女房が心得て笑うので、「しっ」と指を立てて制するけれども、当の狙われている本人はまったく知らん顔で、ぼーっと座っていらっしゃる。

ここなる物、取りはべらむ

「ここなる物、取りはべらむ」など言ひ寄りては、走り打ちてぐれば、ある限り笑ふ。男君をとこぎみもにくからずうちみたるに、ことに驚かず、顔すこし赤みてたるこそをかしけれ。また、かたみに打ちて、男をさへぞ打つめる。いかなる心にかあらむ、泣きはらちつつ、人をのろひ、まがまがしく言ふもあるこそをかしけれ。内裏うちわたりなどのやむごとなきも、今日は皆乱れてかしこまりなし。

語釈
  • ある限り:そこにあるもの残らず。全員。
  • にくからず【憎からず】:好感が持てる。感じが良い。
  • かたみに【互に】:互いに。
  • まがまがし【禍禍し】:不吉である。縁起が悪い。
  • やむごとなし:家柄や身分が高貴だ。
  • かしこまり【畏まり】:遠慮。

現代語訳

「ここにある物をちょっと取りに」などと言いながら近づいては、走って打ち逃げすると、その場にいる女房たちはみんな大笑い。婿君もにこにこ微笑んでいるのに、打たれた女君はびっくり驚くというより、顔を少し赤らめて恥ずかしがっているのがたまらない。また、互いに打ち合ったり、婿君を打ったりもするらしい。どこまで本気なのでしょうか、泣いたり腹を立てたり、打った人を呪って縁起でもないことを言ったり、やっぱりおもしろい。内裏では高貴な方も、今日はみんな乱れて遠慮無用だ。

除目の頃など

 もくころなど、内裏うちわたりいとをかし。雪降り、いみじうこほりたるに、まをしぶみ持てありく四位、五位、若やかにここよげなるはいとたのもしげなり。老いてかしら白きなどが人に案内あんない言ひ、にようばうつぼねなどに寄りて、おのが身のかしこきよしなど、心一つをやりて説き聞かするを、若き人々はまねをし笑へど、いかでか知らむ。「よきにそうしたまへ、けいしやまへ」など言ひても、得たるはいとよし、得ずなりぬるこそいとあはれなれ。

語釈
  • もく:大臣以外の官吏を任命する行事。
  • まをしぶみ:叙位・任官などを朝廷に願い出る文書。
  • 案内あんない:取り次ぎを請うこと。申し入れること。
  • つぼね:女官・女房の居所にあてた部屋。
  • そうす:(天皇・上皇・法皇に)申し上げる。
  • けいす:(太后・皇太后・皇后および皇太子に)申し上げる。

現代語訳

 除目の頃など、内裏のあたりはとても滑稽だ。雪が降り、完全に氷が張っているのに、叙階を申し出る文書を持って歩く四位、五位の人、若々しくて前途有望そうな感じがとても頼もしい。老いて頭の白い人などが女房に取り次ぎを頼んで、自分の話ばかりを一方的に説き聞かせるのを、若い女房たちはものまねをして笑っているけど、当の本人は知るはずもない。「どうかよしなにお申し上げ下さい、奥方にも」などと言ったって、それで地位を得られるなら良いけど、それでもダメだった人は本当に見ていられない。

原文全文

 ころは、正月、三月、四月、五月、七八九月、十一二月、すべておりにつけつつ、一年ひととせながらをかし。

 正月一日ついたちは、まいて空のけしきもうらうらと、めづらしうかすみめたるに、世にありとある人は皆、姿、かたちこころことにつくろひ、君をも我をも祝ひなどしたる、様異さまことにをかし。

 七日、ゆきの若菜摘み、あをやかにて、例はさしも、さるもの目近からぬ所に、もて騒ぎたるこそをかしけれ。白馬あをうま見にとて、里人さとびとは車きよげにしたてて見にく。中御門なかのみかどのとじきみ引き過ぐるほど、頭一所かしらひとところにゆるぎあひ、刺櫛さしぐしも落ち、用意せねば折れなどして笑ふもまたをかし。左衛さゑもんの陣のもとに、殿上人てんじやうびとなどあまた立ちて、舎人とねりの弓ども取りて、馬ども驚かし笑ふを、はつかに見入れたれば、立蔀たてじとみなどの見ゆるに、主殿司とのもりづかさ女官にようくわんなどのたがひたるこそをかしけれ。いかばかりなる人、九重ここのへをならすらむ、など思ひやらるるに、内裏うちにも見るはいとせばきほどにて、舎人とねりの顔のきぬにあらはれ、まことに黒きに、白きものいきつかぬ所は、雪のむらむら消え残りたるここしていと見苦しく、馬のあがり騒ぐなどもいと恐ろしう見ゆれば、引き入られてよくも見えず。

 八日、人のよろこびして走らする車の音、ことこえてをかし。

 十五日、節供せくまゐゑ、かゆの木ひき隠して、家のたちにようばうなどのうかがふを、打たれじと用意して、常にうしろを心づかひしたるけしきも、いとをかしきに、いかにしたるにかあらむ、打ちあてたるは、いみじうきようありてうち笑ひたるは、いとはえばえし。ねたしと思ひたるもことわりなり。新しう通ふ婿むこの君などの、内裏うちまゐるほどをも心もとなう、所につけて我はと思ひたるにようばうの、のぞき、けしきばみ、奥の方にたたずまふを、前にたる人は心得て笑ふを、「あなかま」とまねき制すれども、女はた知らず顔にて、おほどかにてたまへり。「ここなる物、取りはべらむ」など言ひ寄りては、走り打ちてぐれば、ある限り笑ふ。男君をとこぎみもにくからずうちみたるに、ことに驚かず、顔すこし赤みてたるこそをかしけれ。また、かたみに打ちて、男をさへぞ打つめる。いかなる心にかあらむ、泣きはらちつつ、人をのろひ、まがまがしく言ふもあるこそをかしけれ。内裏うちわたりなどのやむごとなきも、今日は皆乱れてかしこまりなし。

 もくころなど、内裏うちわたりいとをかし。雪降り、いみじうこほりたるに、まをしぶみ持てありく四位、五位、若やかにここよげなるはいとたのもしげなり。老いてかしら白きなどが人に案内あんない言ひ、にようばうつぼねなどに寄りて、おのが身のかしこきよしなど、心一つをやりて説き聞かするを、若き人々はまねをし笑へど、いかでか知らむ。「よきにそうしたまへ、けいしやまへ」など言ひても、得たるはいとよし、得ずなりぬるこそいとあはれなれ。

現代語訳全文

 時節は、正月、3月、4月、5月、7~9月、11~12月、全部その時々に良さがあって、一年を通しておもしろい。

 正月1日は一段とうららかな空模様で、素晴らしい霞が一面に立ち込めているのに、世の人々は誰もかれも皆、身なりも顔だちも抜かりなく整えて、主人をも自分をも祝ったりしているのは、いつもと違う様子でおもしろい。

 7日、雪解けのすき間から顔を出している若菜を摘んで、青々としているので、普段はそれほど、そんな青菜なんかを近寄って見もしないような所なのに、大騒ぎをしているのがまたおもしろい。白馬あをうませちを見ようと、実家に下がっていた女房たちが車をきれいに仕立てて見に行く。中御門のしきいを通り過ぎる時、揺れる車内で頭がぶつかり合い、飾り櫛が落ちたり、気を抜くと折れたりもして、皆で笑うのもまた楽しい。左衛門の陣のあたりに殿上人などが大勢立って、舎人の弓を取っては馬たちを驚かして笑っているのを、車の中からちょっとのぞき見ると、庭の目隠しなどが見えるところを、主殿司とのもりづかさや女官などが行き来しているのもまたおもしろい。どれほどの人が宮中に馴染めるのでしょうか、とか想像してみるけれど、内裏の中でもこうして見えるのはほんの狭い一握り。舎人の顔の、露骨に見える肌が本当に真っ黒で、おしろいが行き届いていない部分は、雪が消え残ってできたムラのような感じで、かなり見苦しい。馬が跳ねて暴れ騒いでいるのも恐怖しかないので、体が車の奥に引っこんでしまってよく見えない。

 8日、昇進した人がお礼回りに走らせる車の音、いつもよりも弾んで聞こえて楽しげ。

 15日、祝い膳の小豆粥を主人にさし上げて、その粥をたいた木べらを隠し持って、その家のベテラン女房が、若い女房の腰を叩こうとすきをうかがっている。若い女房たちが打たれまいと警戒して、常に背後を気にしている様子も笑えるけど、どうやってうまくやったのか、打ちあてた時は超ハイテンションで笑い合っているのは、とても晴れがましい。打たれて悔しいと思うのも当然。新しく通ってくるようになった婿君などが、内裏へ参っている間は心もとない。その家で「我は」と思い上がっている女房がこっそりのぞいて、いかにも狙っている雰囲気を出して奥の方でじっと立っているのを、ターゲットの前に座っている女房が心得て笑うので、「しっ」と指を立てて制するけれども、当の狙われている本人はまったく知らん顔で、ぼーっと座っていらっしゃる。「ここにある物をちょっと取りに」などと言いながら近づいては、走って打ち逃げすると、その場にいる女房たちはみんな大笑い。婿君もにこにこ微笑んでいるのに、打たれた女君はびっくり驚くというより、顔を少し赤らめて恥ずかしがっているのがたまらない。また、互いに打ち合ったり、婿君を打ったりもするらしい。どこまで本気なのでしょうか、泣いたり腹を立てたり、打った人を呪って縁起でもないことを言ったり、やっぱりおもしろい。内裏では高貴な方も、今日はみんな乱れて遠慮無用だ。

 除目の頃など、内裏のあたりはとても滑稽だ。雪が降り、完全に氷が張っているのに、叙階を申し出る文書を持って歩く四位、五位の人、若々しくて前途有望そうな感じがとても頼もしい。老いて頭の白い人などが女房に取り次ぎを頼んで、自分の話ばかりを一方的に説き聞かせるのを、若い女房たちはものまねをして笑っているけど、当の本人は知るはずもない。「どうかよしなにお申し上げ下さい、奥方にも」などと言ったって、それで地位を得られるなら良いけど、それでもダメだった人は本当に見ていられない。

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この記事を書いた人

『方丈記』に感銘を受けて古典文学にのめり込み、辞書を片手に原文を読みながら、自分の言葉で現代語に訳すことを趣味としています。2024年9月から10年計画で『源氏物語』の全訳に挑戦中です。

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