おせち料理を赤く華やかに彩る「えび」は、古くから縁起物として担がれてきました。
例えば「海老」という漢字は、長いひげと曲がった腰が長生きの象徴であることに由来しており、えびは長寿を願う食材の一つです。
この記事ではおせち料理のえびに込められた意味と、お正月に食べられるえびの種類をご紹介します。
おせち料理にえびを入れる理由
えびをおせち料理に入れるのは、次の4つを願う意味があります。
- 長寿
- 若返り
- 成長・立身出世
- めでたさ
- 運気アップ
長寿
長いひげを持ち、腰が曲がっていることから、えびは「長寿」の象徴とされてきました。
「腰が曲がるまで長生きできますように」という願いを込めて、おせち料理に入れられます。
「海老」という漢字が当てられたのもそのような理由からで、平安時代の漢和辞書『和名類聚抄』(931 – 938年)に記載されています。

若返り・不老
えびは殻が固くなると、脱皮して新しく柔らかい殻をまといます。
脱皮を繰り返すことで凝り固まることがなく、常に柔らかさを保っていることから、「若返り」「不老」を象徴する生き物でもあります。
長寿と合わせて、えびは不老長寿を願う食材です。
成長・立身出世
脱皮を繰り返す生態は「生まれ変わり」をイメージさせることから、えびには「成長」の意味があり、お正月には「新たな始まり」を願って食べられます。
殻を破って成長していくことから、立身出世を願う意味もあります。
めでたさ
えびは目が外に飛び出していることから、「目出たい(めでたい)」にかけて「めでたさ」を意味します。
「めでたい」という言葉は、「称賛する」という意味の「めづ(愛づ)」と、程度がはなはだしいという意味の「いたし(甚し)」がくっ付いた言葉です。
つまり、「称賛するほかないほど甚だしい」というのが原義であり、そこから「お祝いに値するほど素晴らしい」という意味に派生していきました。
えびは「目出たい」だけでなく、火を通すと紅白模様になることからも、おめでたい席にうってつけの食材です。
さらにえびの赤色は古代から魔除けの力があるといわれており、これもまためでたさの象徴とされてきました。
運気アップ
えびは跳ね上がる力が強いことから、運気の強さを象徴する食材でもありました。
トゲのある固い殻が鎧のようでもあったことから、戦国時代には武将たちの祝い膳に欠かせない食材であったそうです。
おせち料理に使われるえびの種類
おせち料理に使うえびの種類は、基本的に何でもOKです。
高級な食材だと「車えび」や「伊勢えび」、「ぼたんえび」など、お手頃なものだと「ブラックタイガー」や「バナメイえび」、「赤えび」などがよく使われています。
「甘えび」「桜えび」「芝えび」など小型のえびでも問題ありません。
「目出たい」という意味を持たせるには頭付きの方が望ましいといえますが、紅白模様になることが既にめでたさの象徴ですので、頭なしのえびでもOKです。
また、甲殻類アレルギーなどでエビが食べられない、という方もいらっしゃいます。
めでたさや不老長寿など、えびに込められた意味を持つおせち料理は他にもありますので、えびが苦手な方はえびなしのおせちを選びましょう。
- 車えび
- 伊勢えび
- ブラックタイガー
- 赤えび
- ぼたんえび
- バナメイえび
- 甘えび
- 桜えび
- 芝えび


